
システムはガンダム版パンツァーブリッツともいわれていますが、どこまで元ゲームと似ているのか私は判りません。
1ユニットはモビルスーツや戦闘機4機(エース機やMA等例外あり)または艦艇1隻を表し、移動力、防御力、対MS攻撃力、対艦攻撃力の4つの数値と兵器タイプ、パイロットのランクを持ちます。ユニットの大部分は片面表示ですが、一部のユニットは一度だけ使用できる大型ミサイルを装備しており、表裏で大型ミサイル発射前、発射後の能力を表します。
JABRO / NEW TYPE システムと異なり、機体、武装、パイロットを合わせて1ユニットになっています。ザクやGMは標準のマシンガンやBSG装備小隊の他にバズーカ装備で微妙に攻撃力が異なるユニットが含まれます。また、シナリオには登場しませんが、オマケ要素として小説版のG3ガンダムやビームバズーカ装備のリックドム、そして脅威の量産されたビグザム10ユニット等が含まれます。反面、アニメ版に登場した機体の中でもザクレロ、ギャン、両軍の輸送船は含まれておらずやや残念です。

プレイヤーターンの手順は、同時回復−手番側移動−同時戦闘。
移動を制限するのは移動力とスタック制限だけで、敵の存在は影響を与えません。盤上の一部には要塞が描かれていますが、これも要塞砲の配置と勝利条件に影響するだけで移動や戦闘に特別な効果はありません。
戦闘は比率式CRTで、同一ヘックスでは射撃と白兵戦の2種類のCRTを選べます(隣接以外では当然射撃のみ)。射程は火力が1づつ減っていく方式で、厳密に戦力比の計算を始めるとやや手間が掛かります。
戦闘で一番大きな要素はパイロットのランクによるコラムシフトです。パイロットには一般兵(修整なし)以外にエリート(+1)やニュータイプ(+2〜4)、学徒兵(−1)があり、戦力比を修整します。最強の小説版アムロ(G3ガンダム)だと、1:1の攻撃が5:1(ゲーム上最良の戦力比)になったりするので、NTの存在は侮れません。
その他の特別ルールとしては、大型ミサイル、衛星ミサイル、ビグザム、ビーム攪乱幕といったものがありますが、いずれもそんなに複雑なものではなく、総じて簡易なルールで大兵力を取り扱えるようになっています。
シナリオは7つありますが、そのうち4つはア・バオア・クーの戦い関連で、残り3つが簡略版ソロモン攻略戦、ムーア沖戦、ルナツー攻防戦です(後者2つは恐らく仮想設定)。
問題的は発売当初から指摘されていましたが、勝利条件の多くが敵の全滅であることです。シナリオによってはサラミス×46個とか出てくるので、これを全滅するまで戦わせるのは気が滅入る話です。
その他の難点としては、戦闘結果が同時適用のため、手番側の被害を記憶または記録しておく必要があるものの、そのためのマーカー類が整備されていないこと、戦力比システムで複数のユニットの攻撃力を合算できるために戦力集めのためのゲーム的な機動が起こりがちな点、そして、艦船(特にNフィールド防衛の拠点となっていたはずの空母ドロス)に特段の存在感がない点が挙げられます。
ガンダムゲームの中では評価の高いゲームのひとつですが、ア・バオア・クー攻防戦というテーマに関しては、「決戦!ア・バオア・クー(もりつちのページ、WEB発表)」が登場しているので、状況設定等完全上位互換ではないとはいえ比較すると古さが目立つ点は否めません。ただ、平易なルールで大兵力を扱えるという点ではフォートレスにも捨てがたい魅力はあると思います。
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